2021年も早いもので、もうすぐ終わりですね。今年のあなたのビッグイベントはなんですか?
2021年の日本のビッグイベントと言えば、7月~9月に開催された東京オリンピック・パラリンピックですよね。
多くの競技が無観客で行われたので、観光への影響はほとんどなかったと想像できますが、実際のところどうだったのでしょう。
この記事では東京オリンピック・パラリンピックが開催された7月〜9月の観光産業の統計情報をお伝えします。
▽この記事の目次▽
2021年7月〜9月はどんな時期だったか
7月~8月は東京を始め首都圏や関西圏などの都市部で緊急事態宣言が発令されていました。そして8月下旬から9月は、そのほかの地域でも緊急事態宣言が発令されていたり、まん延防止等重点措置地域に指定されていましたね。
一方、ワクチン接種が働き盛りの世代や若い世代にも広まっていった、そんな時期でした。
2021年7月~9月の統計情報
では、さっそく統計情報を見ていきましょう。
当ブログの観光産業の統計情報は、旅行者数、宿泊数、消費額を取り上げています。
旅行者数
まずは旅行者数です。
今回も4月〜6月同様、前年の2020年ではなく新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年と比べていきます。
日本人国内延べ旅行者数(2021年7月~9月)※速報値
宿泊(2019年同期比) | 日帰り(2019年同期比) |
---|---|
3,606万人(▲62.1%) | 3,009万人(▲59.5%) |
4月~6月と変わらず横ばいで推移しています。
旅行するなら日帰りという方が多い傾向ですね。宿泊はまだちょっと気が引けるといったところでしょうか。共感できる方も多いのではないでしょうか。
(2021年4月~6月の統計情報)
7月、8月、9月の月別で見てもだいたい6割前後のマイナスです。
〈月別旅行者数〉
旅行者数 (2019年比) |
宿泊 (2019年比) |
日帰り (2019年比) |
|
2,025万人 (▲52.6%) |
1,136万人 (▲51.5%) |
889万人 (▲54.0%) |
|
2,553万人 (▲65.1%) |
1,529万人 (▲65.5%) |
1,024万人 (▲64.6%) |
|
2,037万人 (▲61.9%) |
942万人 (▲65.6%) |
1,096万人 (▲57.9%) |
ちなみに2020年と比べると▲23.2%で、すでに新型コロナウイルス感染症が流行していた昨年(2020年)より今年(2021年)の旅行者数は少ないという結果でした。
これは昨年は7月下旬からGoToトラベルキャンペーンが始まったいたため、その影響で7月以降旅行者数が増えていたからでしょう。それに比べると今年はそれほどではなかったということでしょう。反動減っていうあれですね。
最近思うんですけど、もう1年以上感染症と戦っているので、あの夏は2020年なのか2021年なのかよくわからなくなってきますね(^_^;)
話がそれちゃった。 話を戻して、次は訪日外国人数です。
訪日外国人数(2021年7月~10月)(※%は2019年比)
51,055人 | ▲98.3% | |
25,916人 | ▲99.0% | |
17,700人 | ▲99.2% | |
22,100人 | ▲99.1% |
10月に少しだけ入国制限や待機期間などが緩和され、ビジネス以外(留学など)の目的でも条件や人数に制約があるものの全ての国・地域からの入国が許可されるようになりました。(新たな変異株が見つかった現在、この措置は停止しています。)よって10月は若干訪日外国人数も増えているのでしょう。観光目的は依然として入国できません。
9月までの訪日外国人数については東京オリンピック・パラリンピックの影響が見て取れますね。
宿泊数
延べ宿泊数(日本人)(2021年7月~9月)※第2次速報%は2019年比)
2,916万人泊 | ▲28.8% | |
3,039万人泊 | ▲43.5% | |
2,215万人泊 | ▲45.3% |
こちらも同じく2019年比です。
7月については3割減、8月と9月は約半減といったところですね。
延べ宿泊数(外国人)(2021年7月~9月)※第2次速報%は2019年比)
75万人泊 | ▲93.1% | |
59万人泊 | ▲93.8% | |
27万人泊 | ▲96.7% |
先ほどもお伝えしたとおり観光目的の入国は依然として認められていませんので、主にビジネス利用の方々です。それと旅行者数と同様に東京オリンピック・パラリンピックの影響を受けていますね。
消費額
日本人国内旅行消費額(2021年7月~9月)※速報
宿泊(2019年同期比) | 日帰り(2019年同期比) |
---|---|
1兆8,347億円(▲66.2%) | 4,965億円(▲60.6%) |
3ヶ月で2兆円消費していても、新型コロナウイルス感染症が流行する前に比べると6割以上減少しています。こんなに消費額が減少するということは観光産業界の経済が潤ってないということですので、経営が厳しい、または廃業してしまった事業者やお店がたくさんあることでしょう。
2020年比は全体で▲19.7%と旅行者数同様消費額も昨年より減少しています。これもGoToトラベルキャンペーンの反動減ですね。
訪日外国人消費額
引き続き調査は中止しています。
【参考にしたサイト】
訪日外客統計(報道発表資料)|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)
宿泊旅行統計調査 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁
旅行・観光消費動向調査 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁
訪日外国人消費動向調査 | 統計情報 | 統計情報・白書 | 観光庁
まとめ
今回の統計情報を見て感じたことをまとめてみます。
旅行者数と宿泊数
まずは旅行者数と宿泊数ですが
7月を見ると
宿泊旅行者数は▲62.1%で、宿泊数は▲28.8%です。同じ日本人旅行者で比べていて、同じ2019年と比べてるはずなのに不思議ですね。
[調査方法の違い]
そもそもなのですが、この旅行者数と宿泊数は統計の調査方法が全く異なります。
旅行者数は無作為に選んだ人の回答結果を元に統計情報を出しています。対象は旅行者側ということです。
宿泊数は宿泊施設に対して調査をしています。宿泊施設にどれだけの宿泊客が泊まったかを調査しているのです。対象は宿泊施設側です。
今までの統計情報を振り返ってみても、旅行者数と宿泊数は少し差があるようです。
(2020年の観光産業の統計情報)
(2021年1月~3月の観光産業の統計情報)
(2021年4月~6月の観光産業の統計情報)
このブログでは旅行者数と宿泊者数という、結果は似ているようですが出どころがまったく異なるものを並べたため違和感が生まれたわけです。
[連休の効果?!]
あとは
2019年7月と2021年7月の違いといえば、2021年には2020年同様祝日の移動があり7月に4連休がありました。その影響で2泊3泊と連泊する方が多かったのかもしれません。どうせ移動するなら1回の旅行で何泊かしようということでしょうか。
試しに2020年との比較を見てみましょう。
旅行者数と延べ宿泊数(日本人)(2021年7月~9月)※%は2020年比)
旅行者数 2021年/2020年 | 延べ宿泊数 2021年/2020年 | |
この祝日移動の観点を考慮すると、7月と8月は2020年に比べて旅行に行ったというよりホテルなどの宿泊施設に宿泊したという人が多いということがわかります。これはきっと東京オリンピック・パラリンピックが実際に開催された2021年は無観客だったとはいえ、報道関係者や運営側のスタッフなど宿泊施設を利用した人が多かったことがうかがえます。
やっぱりスポーツなどのイベントがあると宿泊施設は潤うんですよね。(全然足りないと思いますけど)
とはいえ観光産業界では
感染対策のためにも、将来やってくるであろうオーバーツーリズム対策のためにも「分散型旅行」を推進していきたいので
連休やイベントがなくても楽しめる観光を拡大していきたいと思っています。
(分散型旅行の魅力についての記事はこちら)
(分散型旅行の課題についての記事はこちら)
夢見ていた、けど
私たち観光産業は
東京オリンピック・パラリンピックが行われる時期にはたくさんの人が日本にやってきて、競技を観戦するついでに日本を観光してもらって、気に入ってもらって、日本のリピーターになってもらって・・・
私たち日本人も東京に観戦に行ったり、オリンピック・パラリンピックにわいている東京で盛り上がったり、東京以外で行われる競技を見に行って、ついでに観光して・・・
そんなことを考え、2020年を楽しみにしていました。
JTBの会長や日本旅行業協会の会長だったこともある田川博巳氏が書いた本
『観光先進国をめざして-日本のツーリズム産業の果たすべき役割』
という本にも日本の観光産業を盛り上げるために、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけにしようと書いてあります。
新型コロナウイルス感染症が流行する前に読んだDDは、この本を読んで日本の観光産業の未来にとてもわくわくしたものです。
東京オリンピック・パラリンピックは私たち観光産業にとって大きな転機になるはずでした。
しかひいろんな目論見も展望もついえて、1年延期された東京オリンピック・パラリンピックが開催されても、観光産業が思い描いていたような状態にはなりませんでした。
それよりテレビの前でただただ無事に大会が終わることを願っていたのは私だけではないはずです。
10月から緊急事態宣言が解除されて
新規感染者数も極端に減少し、新たな変異株への不安はありつつも今までよりは平穏な空気になってきましたね。
明るい未来が待っていると信じて
今を生き延びるだけでなく
明るい未来を強く生きていけるように、いろんな企業や団体が今から仕込んでいます。楽しみですね!(・∀・)