GoToトラベルキャンペーンのニュースが連日話題になっていますね。
11月から一部除外地域が設定されたり、年末年始期間の全国一斉停止が決まったり。そんな中もっと早く停止するべきだったという意見があり、一方停止になったことによりキャンセルが殺到し売上がなくなってしまう不安の声を上げる宿泊施設など様々なニュースが飛び交っています。世論も事務局も大荒れですよ。
GoToトラベルキャンペーンの事業者である旅行会社や宿泊施設はキャンセルの連絡を受けたり、キャンセルしませんか?と連絡したり、手間はかかるしお金は減る。忙しいのに売上は減るんです。だから虚しくて気持ちは下がる。これからどうなるんだろうという不安。
たしかにとても大変(´;ω;`)
しかし観光産業従事者であるDDはこんなに毎日大変で不安だけど、別にいいんじゃない?って実は思ってるんです。そこで今日はGoToトラベルキャンペーンが一時停止になって『良かったこと』についてお伝えしたいと思います。
悪いことばかりに目を向けて嘆いてばかりいても仕方ないですしね!
GoToトラベル事業の目的とは?
GoToトラベルキャンペーンは7月下旬から段階的に始まり旅行代金や宿泊代金の半額を国が支援するというキャンペーンです。開始後、感染状況などを踏まえて何度となく細かな条件が変更になりました。そのひとつが当初出張でも研修でもキャンペーン対象でしたが、11月からは観光目的のみに限定されたことです。
その他の詳しい条件はGoToトラベル事務局の公式サイトでご確認ください。
【GoToトラベル事業公式サイト】
以前地域共通クーポンについてご紹介したときにもお話しましたが、GoToトラベルキャンペーンは旅行会社や宿泊施設の売上のためだけではなく、半額支援のうち3割は地域共通クーポンで支援されます。旅行先の食事施設、観光施設、土産物屋などの売上にも貢献できるような仕組みなんです。『観光』を通して地域経済、そして日本経済を回そうというわけです。人が動けば交通機関や宿泊施設、食事や観光などお金が回る。観光産業の影響力の大きさを改めて考えるきっかけでした。
(地域共通クーポンについての記事)
そのため出張や研修ではこの経済を回す力が観光目的に比べていまいちになると判断されたのでしょう。たしかに出張で宿泊することがあっても観光施設をいろいろ回ることはあんまりないですよね。
年末年始の旅行って?
ここで少し話を変えて、みなさんにとって年末年始の旅行ってどんな旅行ですか?
・実家に帰る
・親戚に新年の挨拶に行く
・ゆっくり休む旅行(芸能人のハワイ旅行のような)
・お正月くらいしか休めないから旅行に行く
こんな感じですか?このように年末年始の旅行には大きく分けて『帰省』と『旅行』があるのではないでしょうか?
そしてなにより特徴的なのはゴールデンウィークやその他の連休に比べて圧倒的に帰省の割合が多いと思うんです。
どう思いますか?
年末年始の旅行とGoToトラベルキャンペーン
そこで問題なのが『帰省』はGoToトラベルキャンペーンの対象なのか、ということ。
ご説明します。
GoToトラベルキャンペーンは先程も説明したように『観光目的のみ』を対象としています。そしてもうひとつ大切な決まりがあって「宿泊の予約をしていたのに宿泊しないのは対象外」なんです。
どういうことかというと、現地での宿泊先が予め決まっている人がいるとします。実家とかね。その人は往復の新幹線や飛行機と宿泊がセットになったいわゆるパッケージ旅行を申し込んだとします。なぜなら往復の交通機関だけ手配するとGoToトラベルキャンペーン対象外ですがパッケージ旅行だとGoToトラベルキャンペーン対象となり半額支援なのでかなり安くなるるから。そして旅行先では実家に宿泊して、もともと予約していた宿泊施設には泊まらない。
GoToトラベルキャンペーン対象の旅行を申し込んだほうが安いからってこういうことやってる人いませんか?
しかしこれだめなんです。
こういうことをすると何が起こるかというと、宿泊していない旅行はGoToトラベルキャンペーン対象外になり、GoToトラベルキャンペーン対象として値引かれていた35%の旅行代金は予約していた会社に支払わなきゃいけないし地域共通クーポンも返さなければいけません。
ちなみに宿泊する商品ではなく日帰りのパッケージ旅行でGoToトラベルキャンペーン対象の商品は各社あります。ここでお伝えしているのはあくまでも宿泊を取っていたのに宿泊しない場合の話です。
以前、宿泊せず地域共通クーポンだけ使っちゃう話が話題になってましたが、あれもGoToトラベルキャンペーンは「宿泊しないなら対象外」というわけです。(あの話には他にもいろんな話が絡み合っていますが)
観光産業目線だとここが難しい
現地に宿泊先があるのか本当に予約した宿泊施設に泊まるかなんて予約のときにはわからない。出張ではないかなぁと様子を探ってみるくらいしかできない。観光目的ですか?と確認しても「はい」と言うだろうし、本当に泊まりますか?なんて聞けないし、はっきり言って旅行と帰省の区別はつかない。それに今どきネット予約が主流ですから移動の目的や現地で宿泊するところがあるかないかなんて予約者がどう申し出るかだけなんです。
全国一斉停止で良かったこと
ではGoToトラベルキャンペーンが全国一斉停止になって良かったことについて考えてみたいと思います。
私達にはわかりやすい
先に散々鬱憤を述べたので察しがついている方も多いと思いますが
純粋な旅行より帰省する人が多い年末年始です。そして『帰省』目的、つまり現地での宿泊先が予め決まっている人とそうでない人の区別がつかないんです。
だから一斉停止はわかりやすい!
一斉停止することによって、実家に泊まるつもりの人は交通機関だけ手配するでしょう。GoToトラベルキャンペーン対象商品で予約したほうが値引きされて安いからという下心はなくなる。
予約したけど泊まらないってこっちからするとそこそこ面倒なんだよねー。
知らしめる手段
そしてもうひとつの『良かったこと』は
なぜGoToトラベルキャンペーンを全国一斉一時停止したかってことを今一度考えてみてほしいんです。旅行会社も宿泊施設も決して意地悪したいわけじゃない。高く旅行に行ってくれ泊まってくれと言いたいわけでもない。国だってお金を出し惜しみしたいわけじゃない。
感染状況が拡大して医療体制が逼迫し、外出自粛しなきゃいけない。人が運ぶウイルスですから人が動けばその分感染拡大のリスクは高まる。外出自粛してください、家にいてくださいと呼びかける。呼びかけておきながら旅行を促進するのは矛盾するし、医療体制が逼迫していることや外出自粛してほしいということを呼びかける手段としてGoToトラベルキャンペーン全国一斉停止は国民にとってわかりやすいんです。
国がGoToトラベルキャンペーン停止って言ってるということは「あ、動いちゃいけないんだな」って思うわけです。国民全体に外出自粛を知らしめる手段として手っ取り早いんです。
だから割引ないから旅行に行くのどうしようかぁ、定価だと高いよねーという発想ではなく、感染状況を見てどう行動するかを考えてみてください。私達の一番の目的はこれ以上感染拡大させないことなんです。
観光産業従事者としてはたくさんの予約がキャンセルになることは屈辱的だし不安です。だけどGoToトラベルキャンペーンを感染状況を見ながらそれでもうまく活用していかなければこれからもっともっと大変になってしまうから、長い目で見れば今一時停止することが私達のためになるとを信じています。
これからのこと
GoToトラベルキャンペーンの一時停止は12月28日現在 1月11日までです。成人の日を含む3連休までです。3連休は帰省する人より旅行を考えていた人のほうがもしかしたら多かったかもしれません。新成人の方や学生さんなどはお正月から成人の日まで帰省を考えていた人もいたかもしれませんね。
まだまだ余談を許さない状況ですが、観光産業全体の信用を失墜させないような対策やキャンペーンを各業界、各社が考えていかなければいけないなぁと思います。
自宅にて、年末の大掃除や新年の準備でもしようかと考えながら綴ってみました。では、またー(・∀・)